先に断っておきますが、当ブログの管理人である私は大鳥雄介先生の大ファンです。
おそらく客観的に見れば結構重度です。
しかしそれを抜きにしても、この作品を語らずして読切好きは名乗れません。
それほどまでにこのキングという作品はジャンプラ読切史上で最高傑作の呼び声高い作品です。
王道の真ん中。ジャンプラ読切最高傑作
『映画のような満足感』
『147ページあったとは思えなかった』
などなど、4000を超えるコメントにて既に語られているようにこの作品の魅力はあまりにも多く、
コメント欄の他の人の感想を読んでは『いやそうなんだよなぁぁ』と何度勝手に共感したことか。
しかし私はコメント欄には姿を現さない主義なのでこの場所で私なりの感想を少し書いてみようと思います。
(*ちなみに最後まで読ませていただいた作品には例外なく感謝の10イイジャンを自らに課しています)
本作『キング』を含めた大鳥先生の過去読切4作、
そして現在ジャンプラで最もアツい作品である連載作『MAD』。
大鳥先生の作品では少しダサいくらいの弱音を吐く男が登場します。
私はこの要素が先生の作品の魅力の一つであると思っているのですが、
本作『キング』も弱音を吐く男が登場します。
主人公ローガンは”キング”の名をほしいままにする格闘技の無敗のチャンピオン。
しかし負けることが怖くなり突如引退を宣言。第一線から退きます。
勝つことが当たり前になったローガン、
そして勝つところを見にくる客とファン。
もし負けたら、もし皆の期待を裏切ったら。
こういった不安が増大し、泣きながら引退をコーチに伝えます。
私は勝つことや成功することが当たり前だと周りに思われている人間ではないですし、
おそらくこの記事を読んでくれている多くの人もそうだと思うのですが、
ローガンが抱えているこういった不安はある程度理解できるのではないでしょうか。
失敗したらどうしよう、うまくいかなかったらどうしよう。
この手の不安は誰しもが1度や2度くらい持ったことがあると思いますが、
成功することが当たり前と評価されている人には失敗に対する不安は一層大きいのでしょう。
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そうして第一線を退くことを発表したローガンなのですが、
それに納得いかない若手ホープであるマテオが『逃げずに俺と戦え』と挑戦状を叩きつけます。
このマテオがすっっっっっごい良いキャラなんですよねぇ。ほんとに。
『ローガンはキングじゃない、ただの腰抜けだ』
『俺と戦うのが怖くて逃げ出した』
などと才能があって勢いのある"The 若者"という煽りをローガンにします。
しかし再三の煽りもローガンは無視し、奥さんと息子の三人での隠居生活を楽しんでいます。
ローガンからの返答が何もないまま時は流れ、マテオはチャンピオンの称号を手にするのですが、
そこでの一幕で以下のシーンがあります。

『なぁ ローガンはもう復帰しねぇのかな』
もうね、
このシーンを見てマテオ好きにならない人います??!
このマテオの表情を見てもらえればわかると思いますが、
ローガンが引退し、彼と戦えないことがすごい寂しそうなんですよね。
大鳥先生はこういったなんとも言えない表情を描くのが非っっっっっ常にうまい。
そしてこのシーンの後、マテオは友人に『ローガンになぜそこまで固執するのか?』を問われるのですが、
その答えは
『奴が最強だから』
いや、
厄介ファンなんかい!!
でもねぇ、ここは本当に彼の魅力が溢れてますね。
結果を出し続けチャンピオンにまでなった。
それでも最強だと憧れるローガンとは戦えないことがすごく寂しく感じている。
そりゃあ好きになりますよ。
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一方でマテオの煽りと呼びかけ、そして彼の試合を観たローガンはマテオと闘いたいと思うようになります。
雪の降るなか1人でミット打ちをするローガンに、彼の奥さんが尋ねます。
『マテオ君と闘いたいんでしょ?』
ローガンは『闘いたいが負けて皆を失望させるのが怖い』と想いを吐露します。
それを受けて奥さんがこう続けます
『仮にあなたが負けて』
『あなたに失望する人がいたとして』

『その人はいつか死にます』
いや、すっげえわと。
これに対してローガンは『えぇ。。。』といったリアクションをするんですが、そうなりますよね笑
『いやそりゃあそうだろうけど、元も子もないじゃん』と言った心境だったことでしょう。
でもね、本当にその通りだと思うんです。
だだっ広い星空や海を見て"自分の悩みなんてちっぽけなもんだ"と思ったり、
きつい失恋を経て"他にもっと良い人はたくさんいる"と考えたり、
1人で思い悩んでいる時に"他にも同じ悩みを持っている人がいる"と知って安心したり、
追い詰められて辛かった経験も"思い返すとなんであんなに悩んでたんだろ"って思えたり。
その瞬間は辛くても、徐々により大きなスケールに考えが向くようになってくると楽になることってあるんですよね。
そして奥さんが言うように
人も、街も、星も。
いつかは皆死ぬわけです。
人は思い悩むとどうしても自分に矢印が向きがちです。
もちろんこれで全てが楽になるわけではないのですが、
外に矢印を向けることが時にベストな方法だったりするよなぁと改めて感じました。
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そしてね、奥さんはこう続けるんです。
『私が愛したあなたは優しくて』
『強がりで泣き虫で実はとても繊細で』
『そして誰よりも戦うことが好きな人よ』

イイっっっっっっっっっっっっ女!!
もうね、イイ奥さん過ぎる。
特にここです、
『強がりで泣き虫で実はとても繊細で』
やっぱりね、男ってね
強がりたいですし、頼りにされたい。
でもね、弱い部分も見せたいんです。
そして強い部分も弱い部分も知ってくれて、
辛い時に隣に座ってくれて、
すっと背中を押して欲しいんです。
めんどくさいですがそういう生き物なんですよ我々って。
こういう人と結婚したいと思う次第でございます。
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こうして奥さんに背中を押されたローガンは復帰宣言をし、
晴れてマテオと戦います。
結果はローガンが勝つのですが、
正直私はどちらが勝っても良かったと思いました。
ローガンという強さと弱さを持った1人の男、
彼がマテオとのリングに上がった時点で
彼は弱さと向き合い乗り越えたと思うからです。
しかしそれでも試合決着のシーン。
このシーンはマテオの視点で描かれます。
打ち合いの末、マテオは天を仰ぎ

『負けたか』という彼のセリフで決着となります。
くうぅぅうぅううう。
痺れますねぇぇ!
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この作品の登場人物は名前のないモブキャラを含めて全員良いキャラしてるんですよね。
かなり長くなってしまったかもしれませんが、
本当はもっといろんなシーン、いろんなキャラについて語りたかったです。
マテオに水かけられたファンとかね。
それでもやっぱりローガンの奥さんとマテオ。
彼らは本当に魅力的でした。
結婚するなら奥さんみたいな人かマテオがいいと思いましたね。
大鳥雄介先生の大作読切『キング』
本作の魅力を1%でも抽出できた記事になっていればいいなと思います。
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