これぞ読切漫画 !!
映画でもドラマでも漫画でも、
終わった後に『何でか分からないけど何だか良かった』って作品ありませんか?
今作はまさにそれです。
先に書いてしまうと、私はこの漫画から他の感想記事で書いたような何か具体的な感情を得たわけではありません。
なんならなぜここまでこの作品を良いと思ったのかちゃんと言葉にすることもできません。
しかし、この作品はとても心地の良い確かな読後感を残してくれました。
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今作では放火の罪で服役中の囚人である主人公と、天使と呼ばれる生き物が登場します。
天使と人間の交流日記、のような側面がある今作ですが
この天使はそんな生やさしいものじゃありません。
天使に触れられた生物は全て死んでしまいます。
植物もネコも人間もです。
そしていかなる兵器を使ってもこの天使を殺すことはできません。
それをどうにかして殺す役を任されたのが主人公です。
無期刑で服役中の主人公は、成功報酬として刑期の免除を条件に天使の件に任命されています。
天使という使い古されたテーマではありますが、このように今作の天使は少し不思議な立ち位置になります。
さらにこの作品の特徴的な点がいくつかあるのですが、
この作品は最初から最後まで主人公の顔も名前も明かされないまま話は終わります。
加えて、最終的に天使は何だったのか、なぜ解決できたのかなども説明されないまま話は終わります。
作中で明確に描写、説明がなされているわけでもないですし、
最初に書いた通り、私が読んでなぜ面白いと思ったのかをしっかりとした言葉にはできないのですが、
私はこの作品の一つの側面として『後悔と向き合うこと』がテーマにあるのではないかなと感じました。
これは主人公と天使、両者にとってそうであると感じました。
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主人公は不遇な環境で育ち、悪い友達に囲まれ、
最後にはその悪い友達に唆されて裏切られる形で罪を犯し、
放火殺人の罪で無期刑の囚人となります。
そしてその罪から逃れるために天使の件を引き受けたことからもわかるように、
主人公は自身に課せられている罪は不当なものであると、ある種自身に言い聞かせるように信じ込んでいます。
しかし、主人公に天使の任を与えた"博士"が天使に触れたことで亡くなってしまい、
その博士の遺体を見たことをきっかけに、主人公は放火によって自身が殺してしまった人の顔を思い出すことになります。
それにより自身の行動と罪を自覚した主人公は、
天使に向かって『おいで』と言い、天使を抱きしめます。
天使に触れた主人公は口や耳から血を流すのですが、
この『こうやって誰かに抱きしめて欲しかった』のセリフをみて、
このシーンは主人公が自身の罪を受け入れることを表していると同時に、
主人公は天使に何かを与えようとしたのだと感じました。
この作品における天使は人間に似た容姿を持つものの意思疎通は全く取れず、
触れてしまうだけで相手を殺してしまいます。
しかし殺してしまったネコや博士を天使が見つめる描写を見るに、
傷つけたいわけではなかった、
ただ何かに触れてみたかった、
ただ何かを伝えたかった、
といった純粋な欲求が天使にあったのかなと感じます。
天使と過ごし観察する中でそういったものを感じ取った主人公が自身の罪を引き受けるのと同時に、
天使に何かを与えようとした結果が"抱きしめる"だったのではないのかなと思います。
このあと天使は消滅し、主人公は一命を取り留めるのですが、
達成報酬の刑期免除を断り自分の罪を償う選択をします。
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作品を通して読むと、天使もまた、矛盾のような自身の存在に苦しんでいたのかな考えたくなります。
物語の中盤で、天使は主人公の身の上話を聞いた後に突然言葉を話し始めます。
発せられる言葉は全く意味をなさないものではあるのですが、
物語終盤、先程のシーンで主人公に抱きしめられた天使は涙を流し
『ごめんね』と言い残し、消滅します。
私はこのシーンが本当に好きです。
このシーンでのセリフは別に『ありがとう』とかでも意味は通ると思うんです。
でも天使が最後に発した言葉は『ありがとう』ではなく『ごめんね』という謝罪。
何かに触れたいけれど壊してしまう。
誰かと遊んでみたいけど一緒に遊ぶこともできない。
途中で言葉を得ても誰とも意思疎通が成り立たない。
それでも何かを傷つけることしかできない。
こういったどうにもならない、後悔に近い何かが天使の中にあったからこそ、
最後の言葉は『ごめんね』だったのかなぁと思いました。
天使を通して自身の後悔と向き合い、罪を受け入れた主人公。
だからこそ"どうすることもできない後悔"を抱えた天使と時間を共にして、
主人公が天使に対して抱いた感情が
『救われてほしい』だったのではないのでしょうか。
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この作品は読みやすく読後感も非常に良いのですが、
最初に書いた通り、なぜ良かったのかが少し言葉で表現するには難しい作品でした。
しかし読み終えた後に確かに残る余韻がある作品でした。
同時に読んだ後に他の人はどう感じ取ったんだろうとすごく気になる作品でもありました。
よければどう感じたのかコメントを残してくれると嬉しいです。
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